ここは、SoHoの裏路地。
大きな窓からはアンティークの質感に包まれた空間。
静かで、少しだけ閉じた異世界。
もう一つの窓からは、
湯気、熱、粉まみれの台。
同じ配合を何度も崩し、また組み直す。
焼き色が半トーン違えばやり直す。
むぎゅっとした弾力が理想に届かなければ、夜でも火を入れる。
誰に頼まれたわけでもない。
でも、納得できないと気が済まない。
完成したのはただのベーグルではなく、止まらない執着。
扉を開けると、その執着が香りになって押し寄せる。
手にした重みの奥に試行錯誤の回数が詰まっている。
理解されなくてもいい。
でも、薄めることはできない。
好きすぎる。
ただ、それだけ。